動画編集のクオリティは、編集者の技術だけで決まると思われがちですが、実は素材の段階で8割が決まると言っても過言ではありません。どれだけ編集スキルが高くても、素材の状態によって仕上がりには大きな差が出ます。編集でできることには限界があり、素材の良し悪しは視聴者体験に直結します。今回は編集者の立場から、「編集しやすい素材」と「編集しにくい素材」の違いについて、正直にお話しします。
まず、編集しにくい素材で最も多いのが、音声が聞き取りづらい動画です。マイクが遠い、環境音が大きい、声量が安定していないといった状態では、ノイズ除去や音量調整を行っても限界があります。映像が多少荒くても、音声がクリアな動画の方が、視聴者のストレスは少なく、離脱率も圧倒的に低くなります。視聴者は無意識のうちに「聞きづらい動画」を避けてしまうため、音声の質は編集以前に重要な要素です。
次に多いのが、無言の時間が極端に長い素材です。考えている間や言い直しが頻繁に入ると、どこまでカットすべきか判断が難しくなり、テンポが不自然になりがちです。もちろん完璧に話す必要はありませんが、「話し続ける意識」を持つだけで、編集は格段にしやすくなります。編集者は素材の中からリズムを作るため、ベースとなる会話の流れがあるかどうかが重要になります。
一方で、編集しやすい素材にはいくつかの共通点があります。その一つが、動画の目的が明確であることです。「誰に向けた動画なのか」「何を伝えたいのか」が分かっていれば、カットの基準やテロップの出し方、テンポの調整も自然に決まります。また、最初に「こんな雰囲気にしたい」「この動画に近い」といった参考動画を共有してもらえるだけでも、仕上がりの精度は大きく向上します。
良い素材とは、決して完璧な動画のことではありません。編集者が意図を理解できる素材です。少しの工夫や意識の違いだけで、編集効率も完成度も大きく変わります。もし今の動画に伸び悩みを感じているのであれば、編集テクニックだけでなく、編集以前の「素材」を一度見直してみることも、有効な改善策の一つかもしれません。
